リンパのはたらき

血液の固体成分を取り除いた液体を、血漿(けっしょう)といいます。リンパ液は血漿と同じものです。
毛細血管から血漿が組織にしみだし、それがリンパ管に流れ込んだものをリンパ液と呼んでいます。これらは、次のようなはたらきをしています。
☆脂肪の運搬作用
 小腸から脂肪を吸収し、首の左静脈角まで運搬するはたらきがあります。
 脂肪に含まれている細菌は、途中のリンパ節で除去します。
☆細菌感染を防御する作用
 細菌が体内に侵入してきた時には、リンパ節で阻止するはたらきがあります。
すると抗体の化学的力で白血球が細菌を除去します。この結果、リンパ節の腫れが起こったりします。
☆免疫抗体をつくる作用
 一度、体内に侵入した細菌は、リンパ節、リンパ球(白血球)がはたらきそれらの細菌に対抗する免疫抗体をつくります。
☆記憶を受け継がせる作用
 リンパ球は、脾臓で作り換えられますが、一度作られた免疫抗体は新しく作られるリンパ球へ永遠に受け継がれます。

リンパ球
 リンパ球は成熟した大リンパ球と未成熟の小リンパ球があります。リンパ球には次のような4つのはたらきがあります。
①細菌、異物の識別
 外部から侵入してきた細菌や異物を識別する能力をもっています。
②抗体を作る
 識別すると抗体という化学物質を出します。抗体が血液やリンパ液で体内を循環し細菌や異物を包囲し、抗体の化学力で白血球を集め、白血球の食作用によって、侵入してきた細菌や異物が死滅します。
③抗体を記憶する。
 一度抗体を作ると、再び侵入してきても対応するよういつまでも記憶します。
④記憶を遺伝する。
 その記憶は、その後生まれるリンパ球へ引き継がれます。

リンパの流れ
 リンパ管の内側には、静脈のように逆流を防ぐため弁がついています。血管は心臓からスタートしていますが、リンパ管は、心臓からスタートしていないのが大きな違いです。筋肉の収縮のたびにリンパ管も縮められ、リンパ液はリンパ管の収縮によって上へ上へ運ばれ、静脈に流れ込み心臓に戻ります。リンパ管は毛細血管のある身体中に、はりめぐらされています。
 リンパ管は動脈の脈拍や周囲の筋肉の収縮が補助的にポンプの役割をしています。
そのため、リンパ液の流れは停滞しやすく、この流れがどんよりしてしまうと自家中毒をおこしやすく、むくみ、タルミ、小ジワ、吹き出物等の原因となります。

リンパ節
 リンパ節は、主に耳の周り、顎の下、首の付け根などの頚部(けいぶ)、ワキの下の腋窩部(えきかぶ)、足の付け根の鼡経部(そけいぶ)にまとまっています。その他に内臓の周りにも分布しています。 
 リンパ節では、リンパ球や白血球で防御できなかった細菌や異物をろ過し、全身に回らないように最終的に防御します。細菌などの出した毒素などを中和する抗体を出すなど免疫に関わる作用もします。ここで防御できなかった場合は、細菌や異物は血管を通って全身にまわり重病になります。

リンパの働きと構造図

人間の体は、血管のほかにリンパ管という細かく透明な管があり、そしてその中を少し黄色味をおびたリンパ液と呼ばれる液がたえず流れています。リンパ管の要所要所には大豆からそらまめくらいの大きさのリンパ節があります。リンパ液は細胞に必要な栄養分を与えると共に、老廃物や毒素を回収します。